Wednesday, 23 July 2025

氷河保存年に関するハイレベル会議 その3

 エクスカーションの選択肢がすっごくたくさんあったのだけど、さすがに氷河まで行くやつはなかったし、自然散策は9月に嫌でもやるので、せっかくなら歴史っぽいやつ、ということで「Hissar Fortress」へ参加することに。

https://maps.app.goo.gl/v98YCSoUsJtttpxt6

説明文読んでたら、一度完全に破壊されて、20世紀末に再建されたとのことで、ちょっとガッカリ。








皆さんいろんな経歴で面白い

道中、ずーっとパトカーの先導付き、砦見学中は救急車も待機という厚遇ぶりで、なんかもうね。解散後、ホテルまで歩いて戻るが、建物やらモニュメントがいちいち立派。






ちなみにモニュメント手前には今回の会議の看板があったりする


翌朝、ホテルをチェックアウトしようとしたら、「二日分のホテル代が払われてないけど?」という衝撃の事実にうろたえつつ空港へ(えぇ、払いましたよ

復路はデリー経由で、Evanからは「左側に席を取れ、カラコルムがスゲー」とのことだったけど、あえなく右側に。でも、雲が多いながらもパミールの氷河や山が素晴らしかった。雲が多すぎ&フライトルートが南寄り過ぎでカラコルムの山々は見えず。



デリーに着陸すると、まだ滑走路でブレーキをかけている最中にも関わらず、皆さん荷物を取り出し始めてカオス


往路ではスッゲー怒られてた人が一人いたけど、この状況ではCAも完全に諦めモード

デリーでは乗り継ぎ便が無かったりすることはなく、予定通り帰国と相成りました。


いや~もう無いな。もし次回招待されたら「ファーストクラスなら考える」とかわがまま言いまくって体よく断ろう。

Tuesday, 22 July 2025

氷河保存年に関するハイレベル会議 その2

タジク大統領をはじめ、UNESCO、アジア開発銀行、WMOのトップや国連の副事務総長、各国の副首相級のおエライさんが次から次へと登壇し、皆口をそろえて「気候変動えらいこっちゃ!氷河が消える!大ごとや!モニタリングや研究にサポートせないかん!」と。朝から昼過ぎまで延々聞かされる。
※みんなお偉いさんだから時間守らないことったらもー


この全世界的に「氷河超大事」な状況にもかかわらず、ワイの来年の観測の赤字が確定してるのは何故なのか?


ランチのアナウンスがなく昼飯を食い損ねてしまい、お茶菓子でなんとか凌ぐ。

(ワイの登壇は翌日なので、その参考にすべく)午後は、パネルディスカッションを見学。MariaとかMiriamとか、久しぶりの知人にも会えてよかった。

こういう様式がスタンダードな模様

夕食はEvanに誘われてスイス関係者とご一緒。NYステーキ最高であった。


で、パネルディスカッション

話を振られて

「各国の代表者がこんなにも氷河観測の支援を表明してくれて、来年から予算の心配をしなくてよいね!」と言わんでもいい皮肉を言ってしまう。

まぁ期待されていた最低限の役割はこなせたかな、と


一緒にキルギスやモンゴルの氷河流出についてモデル開発をしたSanjay君曰く、「帰国してからこんな感じの会議に5回くらい参加したけど、「山岳環境」とか、「水資源管理」とかのテーマで、集まってる顔ぶれはいっつも一緒」だとのこと。これらの会議で延々と同じことをしゃべっている各国のおエライさんとその随行員の旅費(きっとファースト&ビジネスクラス)を積算したら、世界の氷河のモニタリングを十年間くらいまかなえるのではないだろうか?

「国連関係の、これまで氷河と何の所縁もなかった人たちが「氷河」というものを認識し、普通に話題にするようになったこの状況が大事」(Evan)ということはわからんでもないのだけど、なんともモヤモヤ


最後に各セッションの報告者が、セッションのサマリーを読み上げるセッションがあったのだけど、途中で飽きて敗退。

夕食はこの春からタジクの大学に職をゲットしたDenisとローカルフードを楽しむ。

Friday, 18 July 2025

氷河保存年に関するハイレベル会議 その1

歩いて会場に到着したところ、迎賓館(?)っぽい入口は持ち物検査と金属探知セキュリティがあって、物々しい雰囲気


セキュリティ「ネームバッジは?」
ワイ「飛行機が遅れて昨日レジストレーションできんかった」
セキュリティ「ネームバッジがないと入れられない」
ワイ「どこでレジストレーションすればいいの?」
セキュリティ「中、かな?」
ワイ「パネリストで呼ばれてるんだけど?」

脳内でこれが再生されていた

しばし待たされた後、どっかに電話を掛けたセキュリティが、

セキュリティ「道路を渡ったあの建物でレジストレーションできる」

とのことでお向かいの別の立派な庁舎に向かうが、どこも閑散としていて微妙な雰囲気。こりゃまいったな、、と思って見渡したところ、隅っこの方に小さな机と所在無げに座っている若者がいて、そこがレジストレーションデスクだった。バッジとお土産っぽい紙袋を持たされて再びセキュリティへ。

セキュリティ「この紙袋の中身は何だ?」
ワイ「I don’t know」
セキュリティ「何っ!(怒」
ワイ「It's a gift from the conference organizer」
セキュリティ「(切れ気味に)Open this!」
ワイ(知らんがな)
※後で知ったけど、大統領が登場するのでこの日は特に気合が入っていた模様

紙袋の中身は会議のロゴ入りのテルモスであった(メルカリに出したら売れるかしら?)。

緑豊かな中庭に、孔雀やらリスやらが。。(ちなみに写真は二日目の午後で、カップル成立したのか落ち着いた雰囲気。初日の朝は羽を広げてアピールしまくってた)


エントランスホールがとってもゴージャス

中国の懐かしい知人がたくさんいてホッとする

ザ・会議、みたいなホール


で、仰々しく会議が始まったわけなんですが、、、


Thursday, 17 July 2025

氷河保存年に関するハイレベル会議 その0

スイスから戻って10日も経たないうちに、5月末にタジキスタンで開催された「氷河保存年に関するハイレベル会議」なるものに呼ばれて参加してきました。

大使館経由でお誘いがあったものの、当然のように予算が無いので「チケットと滞在費出してくれるならいくけど」と返事したものの、その先がなかなか進まず「はっきりしないならJpGU出るんでお断りすっけど?」と言ってようやくチケットが手配される。

偶然ながら、氷河モニタリングに関するパネルディスカッションの司会がEvanで、そのセッションのパネリストとして参加することに。

中部~インチョン~タシケント~ドゥシャンベという経路

セントレア出発がターミナル2とあって嫌な予感がした通り、中部~インチョン~タシケントはLCCであった。当然のように食事なし。

タシケントの空港に到着して、乗り換えカウンターでチケット見せたところ「う〜ん、フライトが存在しないよ?」と、いきなり「ザ・中央アジア」を突きつけられてテンションが上がる。カウンターのおっちゃんが意外にも(失礼!)結構親切で、いろいろ調べてくれて、「同じ日の午後に同じ番号のフライトがあるから、これじゃね?ここで待つのは大変だろうし、暫定搭乗券出したるから、ゲートのフロアに入って休んだら?」と手書きの券を出してくれる。

当然のようにカフェは閉まっていて、24時間の絶食が確定。ゲート内とはいえ、ベンチで耐えられるのか?と不安だったところ、ラッキーなことに空港ホテルがあったのでチェックイン。翌朝25時間ぶりの朝ごはん。

セキュリティを普通に逆行して乗り換えカウンターにいったら「乗り過ごしたんか?チケット買いなおすなら一回入国せんといかん」となかなか理解してもらえず。結局席がちゃんとあって、無事ドゥシャンベに。

ドゥシャンベの空港ではタラップをおりたところからVIP待遇で豪華なエントランスホールで入国。こういう待遇を普段から受けていたら、思い上がっておかしなコトを言い出す元国連職員がいるのもうなずける。

VIPホール(超豪華)

ホテルで一息ついたら、氷河保存フェスティバルってのがある、ってことで会場へ。アラブの王族みたいな一団とかいてもう何が何だか。メディアの撮影とかたくさん入っていて、ドローンが複数台、頭上すぐのところを飛び交っていて、日本との違いが凄い。広すぎ&人多すぎで知り合いに会えそうにも無いので、西南・南アジアの出店のスナックをつまんで歩いて帰る。インドのサモサが美味かった。

 
凄い力の入れようである

Wednesday, 16 July 2025

スイスドリルトレーニング その5

掘削二日目、ドリル責任者のTheoが、ありったけの不凍液とお湯を用意して、いざドリル回収へゴー。といいつつも、皆さんいろいろ用事があるらしく、大幅にメンバーが減る。

 
午前中いっぱい、不凍液を投入し、お湯を投入し、を繰り返したものの、動く気配なし

とはいえ、テンションを掛けるたびに少しずつワイヤーが巻き上がっていたようなので、「一度ドリルを下に下して、勢いをつけてあげてみたら?」と提案したところ、これがうまくいって無事にドリル回収に成功

「やれやれ、これで帰れるか」と安堵していたら、

「じゃぁ、もう一本掘る場合の動き方をやろーか」と、実にアグレッシブなご提案

掘削機をテント内でずらし、もう一本のコアを数m掘る。

ようやく一連の動きがこなれてきた

まぁだいたい忘れてて、現場で一からやりなおしなんだけどね

ドリルの深さの表示に癖があるとか、その辺を確認

なかでも大変だったのは、コアキャッチャーの付け替え。老眼ズには極めて厳しい作業であった。6千mでできる気がしない。


ロープウェイの最終便の時間が迫る中、パッキングして、スリング輸送がしやすいように集積し、駅に向かう。

向こうからスノーモービルに乗ったおねぇさんがやってきて、

ねぇさん「あなた達、ロープウェイの最終便で降りるつもり?」

ワイら「イエース」(「乗ってきなさいよ」とか言ってくれるのかな?)

ねぇさん「ラーーーーン!」

30秒ほどダッシュしたけど、すぐに息が上がってヘロヘロになりつつ、何とか最終便に乗り込む。最後の最後に実にスパイシー


夕食はチーズフォンデュ屋で(ドリルを回収できたこともあって)お祝いムード。MarcusのTC論文のアクセプトの連絡があった、とかで実によい晩餐であった。

翌日、チェックアウトでホテルの外にいたら、廃品回収みたいな電動カート(ツェルマット内は全部EV化されている)に山のように家財道具が積まれている。眺めていたら、通りがかったインド人のオッサンが、積み込んでいたオッサンと雑談し、スーツケースを嬉しそうにもらっていった。その向かいっ側で、セレブっぽいファミリーが電動カートに乗り込んで去っていく。道端に出されていたワインのケースとかから見て、一ヶ月ほどこちらに滞在していたのだろう。3部屋3泊で50万円ってことは、一ヶ月の部屋代だけで170万円!スゲー


前日に回収されていたドリルをベルン大のバンに積み込み、我々は列車でチューリッヒに戻る。片づけをして一息ついたところにベルンで荷下ろしを手伝ってきたEvanがきて、今後のことについて打ち合わせ

翌朝、北大組を見送った後、夕方便のワイはAirBnBをチェックアウトしてボルダリングジムへ向かう(https://maps.app.goo.gl/9xDVsF1xgpFZX2fH9

広さやルート設定は素晴らしいが、利用料金は高い
(口コミで地元の学生も「学生には高すぎる」と)

6C+も何本か登れて(惜しくも登れなかったやつもあるけど)、大満足で引き上げようとしたら、なんとスマホが見当たらない。ジムのWiFiにPCをつなげさせてもらい、スマホをロック、ロック画面に「This is 6-years used Android. No one will buy this so Appreciate if you return this to Gym.」と表示するように設定。

かれこれ一時間ほどいて、そろそろ空港に向かわないといけない時間になってしまい、あきらめて受付のねぇさんに挨拶して出たところ、Gymから十歩ほど歩いたところで受付のねぇさんが追っかけてきて、「これじゃない?たった今届けられたよ!」と。誰が届けてきたのかちょっと気になったけど、無事に戻ってきたのでまぁ良しとする。

iPhoneじゃなくてホントよかった、と実感

往路は北極海を通過したけど、復路は黒海経由のやばそうな経路で長いスイス&ウィーン滞在が終了


※ヨタ話(だと思っていた方が皆のため、か?)※

この業界で「スーパーヒューマン」と評されるPW、ランタン氷河からシプトンコルを越え、シシャパンマ南壁を7800mまで登ったものの、パートナーの不調で敗退、シプトンコルまで戻ってパートナーはヘリで救出され、PWは一人でランタン谷を戻ったとか。当然のように無許可ww。ホンマかいな?と思いつつ、PWならありうる、と思うなど。世の中、メディアに出ないけどスゲーのはいるんだな。

Tuesday, 15 July 2025

スイスドリルトレーニング その4

やっと天気が良くなりそう、ということで、Evanからゴーサインが出て、まずはツェルマットへ移動

総勢11人のために、フラットを三部屋借りたそうな。眺め最高。
三部屋、三泊で3,000CHF~50万円相当だとか。ヒーッ

イタリアンの晩飯後の打ち合わせで、Evanから、「明日、朝一で4人ヘリで上がってドリルサイトの整備と準備をして欲しい」との提案が出る。ドリル周りを良く知るTheo、ETH-VAWでフィールド観測のサポートをしているRaphi、UniFrの学生のMarcus、の三人には行ってもらいたい、とのことで、「あと一人、誰か行きたい人?」というのですかさず手を挙げる。

Swiss Alpsでヘリに乗れるなんて、滅多にないチャンス!

翌朝、ヘリポートに向かうと、Marcusの知人という研究チームがいて、先のフライトで彼女らの現場に向かうという。ヘリのチャーター代も安くないだろうに、そういう研究費がちゃんとついているのは羨ましい限り。

我々も約10分弱のフライトでBreithorn Plateauへ
二便目ではスリング輸送でドリル一式が運ばれてくる

先発隊はヘリで上がる代わりに、4人でドリルキャンプの設営のタスク。いきなり4千mに上がったので、クラクラしながらの作業。

Swiss Topのスクショ。ヘリ以外のメンバーはロープウェイを乗り継いで上がってくる。

後ろの白いピークがブライトホルン。スイスチーム曰く「アルプスで最も簡単な4千m峰」

モンブラン(一番左手の遠くに見えるピーク)からマッターホルンまで一望できる最高のロケーション

テント設営し、

ドリルをセットアップし、

ソーラーパネルをセットし、

掘削を始め、、

と順調に進んでいた

と 思 い き や 、

4mほどのところでドリルが上がってこなくなる。ヒ~~

あれこれ試みるも、どうにもならず、ロープウェイの最終便の時間がやってきて初日は終了。

Evanが、「ベルンでThomas(あの、Stocker大先生のこと)と話してた時、Thomasが「タジク行く前にドリルを失わないといいね」って言ってたんだよねぇ」と既に死亡フラグが立っていたことを告白。マジかよStockerせんせい。

Thursday, 19 June 2025

スイスドリルトレーニング その3

ウィーンから戻った翌日、北大チームの二人(mato, yoshi)が合流。

当初、後半の期間を二週間もとっていて、「長すぎでは?」と思っていたのだけど、ウィーンで暑いくらいの好天が一週間続いたのち、チューリッヒでは寒々とした雨がちのの天気に。。

EvanとTheoは天気予報とにらめっこしつつ、ゴーサインを出すタイミングに悩んでいたけど、ついていくだけのわしらはお気楽なもので、いかないのであれば内職を、、とチューリッヒ大のEvanのオフィスやAirBnBで日々を過ごす。

で、結局、好天が見込めないってことで、最初の週は動けず、週末に突入。

土曜日はEvanファミリーとローカルクライマーが運営するジムへ

洗練された商業ジムとは違う安っぽい雰囲気だけど、課題はなかなか良かった

Evanファミリーは早々に切り上げて帰っちゃうし、良い天気だったのでほとんど人が来ず、ちょっと寂しい

マットが壁と一緒にせりあがっていて、ほとんどルートクライミング的に長く登れるこの壁が特徴的(持久力の無さを思い知らされた)

mato, yoshiコンビは近場をハイキング。EvanがSwiss Topoというアプリでいくつか推奨ハイキングルートを教えてくれたけど、こっちの人たちのアクティブさにちょっと引いていた。

おっさん三人の晩餐

滞在費はスイス持ちとはいえ、贅沢三昧をする性分の三人では無いので、COOPやMIGROで買いだしては自炊の日々。なのに、毎回の買い出しが一万近くいくのはさすがスイス。宿泊しているAirBnBも、二週間で40万円以上してて眩暈がしそう(一泊一人一万円×3人×13泊、と考えれば、チューリッヒ市内としては破格の安さではある)。

さぁ、あと一週間を残すのみとなったけど、果たして氷河上での掘削トレーニングはできるのであろうか??