Wednesday 29 May 2019

basics of mass balance

今週、来週の連チャン講義のためにいろいろ素材を準備してました。

せっかくなので公開しちゃう。

cozyの質量収支モデルを使用。気象データはネパールかどこかの5000mにおけるERA-Interimのデータで、1979年10月~19809月にかけての一年のみの計算。



左の階段状の図は仮想的な氷河の面積分布。

左図:仮想的な氷河全体の質量収支がゼロになるような質量収支のプロファイル。降水量を与え、質量収支がゼロになるように気温を調整した。
右図:気温はそのままで、年降水量を変化させたときの質量収支プロファイル。

年降水量をいろいろ変えても、気温を調整するとこの仮想的な氷河の質量収支をゼロにすることができる。

降水量が変化しても、氷河の質量収支(b=XXXXmm)は変化する。温暖化だけが氷河縮小をもたらしているわけではない。特に降水量が減った時の消耗域の変化は大きい。





では、こんどは気温を変化させてみる。


左図:年降水量2000mmで、気温を+1℃から-1℃まで0.5℃刻みで変化させた時の質量収支のプロファイルとその結果(数字、見えないね)
中図:年降水量を500mmで同じ実験をした。コントロールは氷河全体の質量収支がゼロになるように気温を調整してある。
右図:気温のバイアスと氷河全体の質量収支をプロットしたもの。

同じ温度変化(~温暖化)であっても、氷河質量収支の反応は、湿潤温暖な環境下での温度変化の方が、乾燥寒冷な環境下での温度変化よりも大きい。


・・・・・


なんで? by チコ
というわけでこれはレポート課題のテーマ


さらにさらに、今度は氷河の大きさも変化させてみよう。

この変動モデルはvolume-area scalingっていう、かなりシンプルなもの。オアシスプロジェクトの時に作って、2012年の論文に使用した。
引用されてね~

最近全球の氷河で使えるように拡張。
あぁ、論文原稿書かなきゃ、、、

計算条件は、ある日を境に突然質量収支が負になった時に(下の左図の黒から赤に変化)、氷河の体積がどう応答するか?とした。氷河の面積を三つ用意。


左図:与えた質量収支のプロファイルと氷河面積分布の初期条件。
右図:0年目を境に質量収支が負になった時、氷河の体積の時間変化をみた。

初期条件に対して0.5mずつ氷河が薄くなる境界条件なので、元の氷河の規模が大きければ大きいほど落ち着くまでに時間がかかる。でも、1km2の氷河でも、応答時間は数十年もある。

→ 氷河の初期条件は大事。

あと、同じ質量収支プロファイルを与えて変化させた場合、変化前と変化後のサイズの比は氷河のサイズによらず一定になる。

最後は似たような計算、でも、常に質量収支-0.5mの境界条件を与えた時の反応。



全体が同じ氷河面積(もしくは体積)であっても、1km2の氷河が100個あるのか、100km2の氷河が一個あるのかで氷河の振る舞いは違ってくることを意味してる。


つい先週出た、GlacierMIPのPhase1論文を見ると(下の図のd~f)、IPCC-AR5で使われた将来予測では、論文毎で初期条件の氷河体積がばらばらなまま計算されていることがわかる。
当時は氷河インベントリがなかったし

全体的に似たような減り方をしているので、積算海水準に直すとなんか揃ってるように見えるけど(下の図のg~i)、上で示したように、氷河の大きさや個数が違うのに変動の傾向が似ているってのは、逆に質量収支の方が変、ということ。



cozy達も参加している、現在進行中のGlacierMIPのPhase2では、「使うGCMと初期条件を揃えよう」という方針でやっている。

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