14年ぶりのEGU。会場まで5kmほど、ドナウ川沿いを歩く。朝の運動にちょうど良い感じ。
河川敷の公園のあちこちに野生のうさぎが。。
Frontiers in ice core sciences
Barbante
Beyond EPICA 2799mのLittle Dome C (LDC) コアの速報。120万前は確実、150万年前もいけそうとのこと。圧巻。
Chung
アイスコア年代決定のための流動モデル。いろいろ工夫しているけれど、今のところ1次元モデルが一番良い結果。2.5次元バージョンで、水平方向の流動について、涵養量が変化すると深さ毎に水平フラックスを考慮している、というところが感心した。
Bingham
広域アイスレーダの結果について、明瞭な層がどの地域でどの深さに見えているかについての解析。3Dなので大変そう。基本、火山イベントだろうとのことで、地域ごとの広がりとかから起源となる火山の同定とかできたら面白いんじゃないかな?
Spagnesi
オーストリアアルプスのコアの底部近くを39Arで年代決定。アイスマンが見つかったところからすぐ近くの氷河。ヨーロッパでもまだまだやられていないことはあるのだな。
Holland
2017年の低温室故障で失われたローガンのコアを掘りなおして解析した結果の報告。涵養量が近傍のコアの6倍もあるのが謎(説明できてない)。吹き溜まり?標高によって起源が異なる、というのは以前の研究でも主張していたけど、ちょっと苦しい解釈では?d15N測って大気の酸性度について議論している。服部仮説とどういう関係にあるのかはちょっと追い切れなかった。
KumikoさんのSigma-D Black Carbonの発表にSuzan (超久しぶり!)が食いついていた。「どう?USA大丈夫?」とコーヒーブレイク時に声をかけたら、Stasと二人で乾いた笑い。
Tetzner
コア中の有孔虫の分析(大変そう!)。コアサイト毎のバックトラジェクトリと組み合わせての解釈は、ダストと一緒。BTの表現でKarnell Densityというのを使っている。軽く調べたけど、具体的にどうやって空間分布の表現に適用しているのか、ちょっとイメージできない。
Mühl(methan)/Klüssendorf(N2/O2):
DomeFのライバル?内容的にNIPRが先んじているような印象
Lamothe:
Horiuchiさんのライバル?でも36Clも測っているのがすごそうだが、10Be/36Cl比が変わらない、というのはどこまで確実なのだろうか?
Wolff
アイスライズで400m近く掘削し、55万年前まで遡った。KennyがやりたがっていてNIPRが雑な対応してできなかった企画を実現したような話
Wang
81Krによる分析。中国すげー
Kutuzov
spICP-TOFMSという分析器で、ダスト粒子毎にどの化学成分で構成されているかを分析。すげーデータ量。パミールのコアでもやれるとよいな
Raspagni
Naokoのライバルか。詳細は理解できなかった。
Legrain
過去の大気の気温減率がどうだったか?を調べ、高標高ほど温暖化していたかどうかについて北米~南米でやった自身の先行研究に基づき、Blue Iceの氷を使って南極周辺で解析した、という話。先行研究が面白そう。結果は「南極では高いほど温暖化したということは無かった」とのこと
Glaciers and Ice Caps under Climate Change
Davies
Juneau Ice Fieldの変化。リモセンで丁寧に解析しているけど、主張していることはまぁ普通かな
Kirit/Tobias
天山2つ、アッサム、Chota SigriでGeodetic MBを出し、それに合うようにMBをCOSIPYでモデリング。気象パラメータの調整の説明がない。ウチが考案したT-P-Bヒートマップを作成していてエッヘン、といった感じだけど、何が感度を決めているか、の議論は無かった。
Tobias
末端までアクティブ(Kanshung/Gangotri Type)だと、全体的に低下するけど、末端が停滞(Khumbu/Rongbuk Type)していると中腹で顕著に低下する、氷河湖があると話は別、という、最近あちこちで話している話。じゃぁ、何がこのタイプを決めているか?はまだわかっていないみたいで面白そう。
Armstrong
カナダロッキーAthabasca氷河では過去に掘削孔を使って氷河内部の流動分布が測られていたので、最近それを測りなおし、氷河が薄くなったことで流動がどう変化したかを確かめた話。底面滑りも遅くなっていて、これを考慮すると、末端変動は一時的に大きく後退するけど、将来的には後退が小さくて済むために、全体の質量損失も少なくて済む、というモデルの結果が面白い。GRLで査読中とのこと。
Marcus Gastaldello: ベルンでのドリルトレーニングに参加していた若者。スイスアルプスの涵養域でフィルンの温度観測をしていて、フィルン用に改良したCOSIPYを使って解析(Sauter2020/Marchenko2017)。水みちスキームも入れると良い感じとのこと。タジクのフィルン温度もやってもらったらいいかも。Egusphere-2024-2893で査読中だが、コメント見たら「一つ前の研究と何が違うねん?」となかなか手厳しい。その話を振ったら「いやもう大変で、、」と嘆いていた(→後日、ツェルマットで飯を食っている時にアクセプトの連絡が来てニッコニコ)
Maffezzoli
IceboostというMLで全球氷河の体積を推定。FarinottiやMillanよりもよい、とのこと。観測で学習させているのだから当たり前では?と思わんでもない
Goutard
裸氷でも、表面の凸凹にはある程度の水が存在しているはずで、それを考慮すると(buffer=0.01m w.e.)再凍結とか質量収支がどうなるか?というモデリング。Meraでやっている。これもCOSIPY。面白い視点だけど、検証は?風化氷の保水能力とかも関係してくるはずなので、こちらも一緒にモデル化しないと片手落ちっぽい。
Åkesson
スカンジナビア最大の氷帽(81の溢流氷河)の変動の観測とモデル。
Jouvet
最近話題の機械学習流動モデルIGMの開発者。誰もかれもがIGMに夢中で、新しいおもちゃとしてはいいのだけど、それで満足したらアカンとちゃう?とも思う
Irarrazaval (poster)
パタゴニアの氷河・氷河湖について、ブータンで我々がやったような解析をしている。1940年代の写真とかあってすごい。どっかで見たことある図だなぁ~と思っていたら、以前査読してた。湖盆とFarinottiの氷厚データを比べていて、合うやつもあれば合わないやつもあり、合わないヤツも過大評価過小評価両方あって、氷厚もまだまだ、という感じ。この辺はウチのSyunkiの修論と同じ。「やっぱ湖盆の観測は大事&増やしていかないとね」と意気投合。
初っ端から詰め込み過ぎで知恵熱が出そう