Wednesday, 17 April 2019

EGU2019 (2)


EGU2019 (1)に続き,関係しそうand面白かった発表を紹介します.
聞いた順番や日付は順不同.ほぼポスター発表です.



EGU2019-5963 : Ludovic Ravanel
フランス・アルプスのMont Blanc周辺のどこかの北壁 (3800-4200 m a.s.l.)を登り,ドリルで穴を(8m)掘って温度計を設置してきた話.3地点のデータはまだ初期解析で一年ぐらいの時系列変化を並べている.表面付近は夏期で融けてしまいセンサーが露出してしまっている様子.
研究と言うより完全に山屋なアレですが,写真は圧巻の一言でした.

EGU2019-8507 : Etienne Berthier
発表日と前後していますが,プレアデスのプロダクト説明が主なポスター発表.内容よりも,セッションで発表するからよろしくお願いしますと,参加登録関係でちょっとお世話になったので挨拶をして終了.なぜか勝手に女性だと思っていたのですが,気さくで良い男性でした.

EGU2019-15159 : Deniz Gök
Google Earth Engine(GEE)でヨーロッパアルプスのデブリ被覆域の分類をした話.GEElandsat画像アーカイブから雲の影響のない画像を抽出→NDSI等のバンド比を使って分類.地域や時期ごとに異なるバンド比の閾値を決めるためにOtsu’s dynamic threshold methodなる,ヒストグラムの形から閾値を決める手法を用いている.
デブリの池や氷壁とかは拾ってるの?という話をしていたところに,以前D. Scherlerと仕事していたというお兄さんが登場.“Cool! Super cool! Absolutely cool!!!”と叫び倒して話を持っていかれてしまいました.このクール兄さん,その後もデブリ関係のポスターにことごとく現れ“Cool!”と連発しておりました.誰だったんでしょう

EGU2019-11332 : Arminel Lovell
Rachel Carrのグループの人.アンナプルナのデブリ氷河を対象にASTERSentinelの
データから標高変化と流動速度を計算.デブリ域とデブリフリー域の表面低下速度は(わずかにデブリの効果が見られるものの)ほぼ同じとの結果.デブリ厚の空間分布が欲しいと言っていたので,一応熱抵抗値法で傾向が分かるよと伝えておきました.

EGU2019-5616 : Franco Salerno
ちょっと全容が理解しにくいポスターでした.仮説として,これまでの研究から,
・クンブ地域の氷河周辺では降水が末端~中流部で起こる傾向あり.
・モンスーン期は夜間に降水が多いが,クンブのデータでは日中でも降水がある.
氷河が後退すると,氷河(山側)からの吹き下ろす風が弱まり,谷風が卓越すると予想されるため,高標高で降水が起きやすくなる.結果的に涵養量が増え,氷河はしばらく生きながらえる(extend lifetime).という流れ.ちょっと自信ないです…
クンブ周辺の降水データ,モデル,同位体の解析結果を示していましたが,まだちゃんとは見えてなさそうな様子.
トランバウでの降水の高度勾配がプラスで,Salerno et al. (2015)の結果とは違いそうだと話したところ,ありえないと否定的でしたが,手法を詳しく説明すると「そいつはおもしろい!」と早口に.結局ピラミッドより上の標高では降水がどうなっているのかはっきりとしていないから色々やりたいとのこと.
データ欲しかったらやるからとにかく比較しろ!とアドレスを書いていただき,ついでにcozyさん宛てにメッセージを書いて渡されました.降水科研側のデータが集まってきたら,比較できると面白そうです.
ちなみに自分が2017年の論文の共著者であることは全く覚えていませんでした…()

EGU2019-3405 : Joshua N. Jones
衛星DEMと現地観測からランタン地域の地滑り地形をマッピングしたポスター発表.直接氷河の話ではありませんが,2018年に現地調査したとのことからランタン村の現在の話などをしました.基本的に地滑りは標高が低い地点で多く,3000m a.s.l.付近を境に起きなくなる(stable)という結果.

EGU2019-1162 : Will Smith
GEEを使ってアラスカの氷河のデブリ域を抽出→経年変化を見たお話.Landsatとバンド比,その他slope等も使って分類する手法は従来とそんなに変わらず.衛星シーンの取得時期はそろえている.似たような手法をインドの氷河でやっている発表もありましたが割愛.GEEは広域解析がお手軽にできるのがウリだと思いますが,デブリ関係の話では,まだテスト範囲で手法を確立させる段階のようです.

EGU2019-15276 : Jan-Christoph Otto
EGU2019-1162と同じような手法をオーストリアのデブリ氷河を対象に適用した研究.Scherler et al. (2018)の結果と比較して,同じような値が得られていたとのこと.話を聞いた印象だと,そこまでの目新しさはなさそうだったのですが,そこに再び現れたクール兄さんは褒めちぎってました.名前聞けばよかったです.

EGU2019-12741 : Lindsey Nicholson
デブリ界隈では有名なNicholsonさんを初めて見ました.イタリアアルプスの小さなデブリ氷河を対象に,デブリ域・デブリフリー域の両方に観測測器を設置し,乱流熱フラックス観測を実施.夜間と曇天時には表面の違いによるフラックスの変化はほとんどなく安定している一方で,晴天時はデブリ域で各熱フラックスが不安定で向きが変わる(change sign)様子が細かくグラフにされていました.あとカタバ風のことも書かれていましたが,ちょっと聞きそびれた...
イントロにバルク法には問題アリと書かれていたので,その辺をどうにかしたいようです.

EGU2019-17759 : Rahel Ganarin
スイスアルプスのZmuttgletscher氷河を対象に,デブリの供給箇所と流れて堆積している(と思われる)箇所を調べた研究.eBeeで空撮し,高解像度のオルソとDEMからrock fall/avalancheが起きている箇所の面積と堆積量を把握.地形を見ながらsub-basin的領域をマッピング.デブリ域の横断ライン(6ライン)沿いのデブリを掘って厚さを確認している(150地点).デブリが沢山供給されていると思われるsub-basinは下流でも何となくデブリが厚い様子が見えている(max=0.6m程度).この氷河は岩のような大きなデブリはなくアジアと違って掘りやすいらしい(本人曰く,デブリのカーペット)
共著者のN. Mölgが関連した研究をTCdiscussion paperに出してます.全然気づかず読んでいませんでした.読まないと…

まだ続きます(多分)

No comments:

Post a Comment