こんにちは,5年目にして初のブログとなりました,Sojiroです.
ブログを書くネタは今まで沢山あったのですが(某Iさんとのぼったくりバー事件や,観測中にヘリで帰って行った某後輩の話,氷河観測後の乱闘騒ぎなどほんとに沢山…),タイミングを逃し今日まで来てしまいました…
さて,先週EGU General Assembly 2019に参加してきましたので,その報告をします.
ヒマラヤ関係のお話もそこそこありましたが,観測ベースの研究を得意とするオランダ,UK,フランスあたりのチームからの発表はほとんどなし.IUGGかAGUで色々面白い話が出てくるのでしょうか?
以下報告
まず自分の発表があったセッション
EGU2019-1495 : Laura Thomson
カナダ北極域の氷河の質量収支観測のお話.ステークを40本以上設置,観測はスノーモービル使用とヒマラヤとの違いが面白かったのですが,自分の発表前だったのであまり内容が頭に入ってこず.話が止まらず,コンビーナが合図しまくっていました.結局20分以上話してました…
EGU2019-6356 : Sojiro Sunako
トランバウ氷河の観測とモデル計算結果.少々詰まったりはしたものの,自分的には及第点.が,最終日+朝早いせいかあんまり反応がなくて少々寂しかったです.
発表後にEtienne Berthierが来て,「ステークをもっと高いところに設置した方が良い」,「デブリ域からトップのステークまでの現場写真を見せてもらえると良かった」とアドバイス頂きました.ステーク設置したいですけど,あそこまで行くのキツイんですよ~って思いつつ,とりあえず昨年少し高いところに設置したのと、クレバスが多いとの説明をしておきました.
なんとか今年も残っているといいんですが…
EGU2019-5375
: Matthias huss
スイスで1世紀以上観測されているClaridenfirnの質量収支をモデルで再現.末端消耗が氷河全体の質量収支にどの位効いているかを計算→平均約9%ほど.こちらは2.5年のデータで勝負してますが,100年以上とはさすがですね…
EGU2019-14587 : Robert McNabb
ちょっと前にDEMのvoidの影響に関してTCに論文を出していた人.北極域の氷河を対象に,2000年以降の標高変化を使えるDEMを総動員して計算.サージタイプ氷河の動向を見たり,コロンビア氷河の細かな時系列変化を動画で示していました.ASTERの補正を自動でしてくれるプログラムをGitHubに出しているそうなので,タイミングがあったらのぞいてみます(python).
EGU2019-11133 : Lucia Felbauer
オーストリアの小型の氷河を対象に,10 minインターバルのタイムラプスカメラからsnow, ice, firn, othersを分類する研究.あらかじめGCPを押さえておいて,画像上にいれて無理やり投影させている様子.トレーニングエリアを対象に最近傍法で分類.1400枚以上の画像を処理して機械学習.結果は良好.カメラがちゃんと固定されているが重要なのと,現在はマニュアル処理が多少あるらしいので,今後は完全自動処理を目指すとのこと.
EGU2019-14079 : Marcus Nusser
ケニアのLewis氷河の縮小についてのお話.基本は過去と現在の写真を見せるスライドショー.1934年にはLewis氷河の面積は0.49km^2だったのに対し,現在は消える寸前(0.04km^2).ドローンにものすごく助けられていると強調していました.「アイスコア掘って,氷厚調べたら?」と冗談交じりな質問で会場がにぎやかになっていました.
EGU2019-13451 : Debmita Bandyopadhyay
SRTMとTan-DEM-Xを使って,ヒマラヤ地域の質量収支を計算.一応現地観測されたデータを使ってvalidationをしている模様.リッカサンバやガンジュラ氷河のデータも使われている.M. HussにSRTMのpenetrationを突っ込まれてモゴモゴしてましたが,セッション終了後に何人かが集まってアドバイスを色々していた辺り,関心は高そうでした.
コーヒータイム後に座った席で,Rachel Carrが隣の席に.デブリの温度観測の話になり,トランバウはセンサーが飛び出て中々うまくいかないと話したところ,向こうも埋めたセンサーが全部同じ深さになってしまっていたなどと苦労話で盛り上がりました。
EGU2019-9534 : Bryn Hubbard
クンブ氷河の熱掘削ドリルで掘った話.前半は写真スライドで,ヘリでの輸送やデブリ氷河の表面などの説明,後半はMiles et al. (2018)のポリサーマルの話でした.多分AGUでのD. Quinceyの発表とあまり変わっていない(と思われます).ヘリのタイプは写真を見た感じ,一般的な小型のヘリでした.
EGU2019-16425 : Martina Barandun
2000年以降のTin Shan とPamirの氷河変動をDEMの標高変化,モデル,現地観測で広域に出すというお話.Brun et al. (2017)はdecadal changeを見てるが,この研究はもう少し細かく見てみようという趣旨のよう.モデルは説明を省略していましたが, デグリーデイ法を使っているようです.衛星データのsnow lineでvalidation.2004-12年の間,Tien Shanで -0.52 ± 0.53 m w.e. /yr,Pamirで-0.24 ± 0.43 m w.e. /yrの質量損失.
続きます.
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